【11/26】奇跡の大逆転
【Mリーグ2021 第32節 11/26(金)】
- 第1試合
- 風林火山(勝又)
- アベマズ(松本)
- フェニックス(近藤)
- サクラナイツ(沢崎)
- 第2試合
- フェニックス(茅森)
- 風林火山(亜樹)
- サクラナイツ(岡田)
- アベマズ(松本)
この結末を一体誰が予想できただであろうか。
- 南4局1本場
- 亜樹:54,200点
- 岡田:26,500点
- 松本:12,700点
- 茅森:5,600点
流局で迎えたオーラス南4局1本場。ラス親の茅森は、5,600点というわずかな持ち点で最後の親番に望みを託した。
茅森の配牌が画面に映し出される。ターツ候補はあるものの、お世辞にも良いとは言えない。第1打はオタ風の西から。
「ポンっ」
西家の亜樹がすかさず仕掛けた。亜樹はトップ目。茅森の親を落としに走る。そして亜樹の手牌はすでにリャンメン×2のイーシャンテン。
瀬戸熊「キツい…」
松嶋「茅森に時間は残されているのか…」
このままだと最後の親番を何もできないまま終えてしまう。そんな茅森を同情するかのように松嶋と瀬戸熊が口を開く。
(万事休すか…)
思った以上に時間がかかったが亜樹に先制テンパイが入る。しかし、着々と手を進めていた茅森にも同巡テンパイが入った。
「リーチ」
茅森が平和・ドラ1の手でリーチを打つ。待ちは5-8ピンで8ピンだと高め一盃口。裏ドラ次第では跳満まで見える勝負手だ。
ただ亜樹だってアガればトップ。十分な点差にも後押しされて、一発目から無スジをプッシュ。次巡には入り目の2ソーまでもプッシュ。
茅森と亜樹の完全なる一騎討ち。そして、残りツモ回数あと2回というところで決着はついた。
「…ツモ」
勝負を制したのは親の茅森。8ピンをツモって”リーチ・ツモ・平和・一盃口・ドラ”、そして裏ドラ6ピンが2枚乗り見事な跳満和了。オーラスを迎えるまで1度もアガりが無かった茅森が、一撃でラスから2着目まで浮上した。
茅森早香、恐るべし…
会心のアガりを決めた茅森の表情はいつもと変わらず冷静そのもの。しかし、”天才すぎるオンナ雀士”の真価が発揮されたのはここからだった。
南4局2本場:
流局間近にテンパイを入れた茅森はツモ番残り1回でリーチをかける。同巡テンパイした松本が茅森からの直撃を狙って追っかけリーチを敢行した。しかし、松本のリーチ宣言牌6ピンは茅森の当たり牌。
「…ロン。12000は12600」(リーチ・一発・平和・タンヤオ・ドラ)
一発で捉えた茅森が親満を成就させ、放銃した松本の持ち点が-6,000点へと沈む。
南4局3本場:
”跳満ツモなら茅森をかわして2着”という局面で、岡田が勝負のリーチを敢行する。待ちは”マンズ4-6-8”の形から4を切ってのカン7マン。”一発ツモ”、もしくは”ツモ裏1”で着順アップ条件クリアという手だったが、次巡に悲劇が岡田を襲う。岡田が一発目にツモった牌は…なんと赤5マン。
(カン5マンを選んでいれば……)
最悪のアガり逃しを喫した岡田の手から無情にも赤5マンがツモ切られる。
「チー」
反応したのは茅森。岡田から切られた赤5マンをチーしてカン7マンのテンパイに辿り着くと、数巡後に6マンをツモってきて打8マン。6マン、4ソーのシャンポン待ちに変化させた。そしてハイテイのツモ番が回ってきたのは岡田。山に眠っていたのは…4ソー。
「…ロン。12000は12900」(白・ホウテイ・ドラ・赤)
岡田、痛恨のアガり逃しから悪夢の親満放銃。岡田の持ち点は6,500点まで減り、このアガりで茅森は亜樹をかわしついにトップ目に立つ。
南4局4本場。
亜樹が先制テンパイ。1-4-7マンの3面張リーチに行くと、同巡茅森が南、北シャンポンの追っかけリーチ。”山3”同士の捲り合いとなった勝負は亜樹が茅森の当たり牌の南をつかみゲームセット。
「…ロン。12000は13200」(リーチ・南・ドラ・裏)
茅森が今局3度目の親満を亜樹から捉える。持ち点は60,000点をこえ、トップを盤石のものにする。
衝撃のオーラスを終えた各選手の点数状況は以下の通りとなった。
- 茅森:62,100点
- 亜樹:33,900点
- 岡田:10,000点
- 松本:-60,00点
この結末を一体誰が予想できたであろうか。数分前まで5,600点しか持っていなかった。その茅森がオーラスだけで56,500点を荒稼ぎして奇跡の大逆転勝利。
この試合で茅森は個人2勝目、フェニックスはチームランキング7位から5位へと浮上。降級圏外からの脱出に成功しました。
感情の起伏を一切見せない冷静沈着な氷の女豹、茅森早香。
ただ、さすがの茅森もこの日のインタビューでは顔をほころばせた。
【文中敬称略】